ときめき坂メンタルクリニック院長 柴原 証基



―先生の専門分野は、どういった分野でしょうか?
気分障害、不安障害を専門としており、ADHDの治療も行っております。

―なるほど。近年発達障害という言葉を耳にする機会が多くなりました。貴院では開院当時からこれらの治療にも取り組まれていたのですか?
いいえ。開院当時は、主に気分障害と不安障害を専門としていました。

―発達障害の治療にも取り組まれるようになったのは、何か切っ掛けがあったのですか?
はい。患者様の気分障害、不安障害と併存するADHDを見逃したことがありました。これによって患者様は失職されてしまい、本当に申し訳ないことをしてしまいました。これをキッカケに現在は、もう同じ過ちを繰り返すまいとADHDを見逃さないように努めています。

―なるほど。他にも「社交不安症」も耳にするようになりました。こちらは、どのような特徴がありますか?
「初対面の人に会う」「話をするのが苦手」「人前で話をするのが苦手」というような、日常的で誰もが経験するような状況に必要以上の恐怖や不安を感じるという特徴があります。

―そういった状況で不安や恐怖を感じるということは誰しもあるかと思いますが、治療で改善するかもしれないということですか?
「初対面の人に会う」「話をするのが苦手」「人前で話をするのが苦手」 というような方々全員が社交不安症であるとは言えませんが、その状況を避けようとして会社や学校にいけない等、日常生活に支障をきたすようになると病的な状態にあると言えます。そのような状態の方は、治療で改善する可能性が十分あると言えます。

―なるほど。社交不安症の治療には具体的にどのようなものがありますか?
社交不安症の治療法は確立されています。曝露(ばくろ)療法と「SSRI」という治療薬を用いた薬物療法を平行して行います。曝露(ばくろ)療法とは、不安や恐怖を感じる状況を避けないで、少しづつその状況に居続けるという体験を重ねるというものなので、何か特別なことをするというものではありません。

―「自分は社交不安症なんじゃないか?」この記事を読まれている方の中には、今そんな風に思われている方がいらっしゃるかもしれません。何か簡易的に可能性を判断する方法はありませんか?
「M.I.N.I」という面接法があり、その問診票にある「4つの質問」がすべて「はい」の場合、社交不安症の可能性があります。
その「4つの質問」は、下記の通りです。

 1.この一ヶ月間に、人から見られたり、注目を浴びたりすることに恐怖や戸惑いを感じたり、恥をかきそうな状況を恐れたりしましたか?
 2.その恐怖は、自分でも怖がりすぎているとか、常軌を逸していると感じていますか?
 3.その状況は、わざと避けたり、じっと我慢しなければならないほど怖いものですか?
 4.その恐怖により、あなたの通常の仕事や社会生活が妨げられていたり、それより著しい苦痛を感じていますか?

―ありがとうございます。最後にこの記事を読まれている方にメッセージを頂きたいのですが。
社交不安症のために、人生において多くの損をしている方がおられます。社交不安症がうつ病、アルコールやインターネット・ゲーム等への依存、不登校、ニートなどの原因となります。社交不安症を治療することが、様々な問題の予防の解決につながります。現在は、社交不安症が治療によって完治する可能性が高い時代となっています。

◇取材後記
「緊張しい」ご自身のことをそう思われている方も多いのではないか。緊張で、「頭が真っ白になる」「心臓がバクバクする」「前の日眠れない」そんな思いをする機会が頻繁にあり、その度につらい思いをされている方は柴原先生のような専門家に相談してみるのもいいのではないだろうか。案外簡単にご自身を苦しめている「緊張しい」から卒業できるかもしれない。