精進料理 出雲 代表・女将 山口 和現



―まずは、すごい雰囲気のある建物ですね。ここで、どのようなことをされているのですか?
この建物は、大正時代に建てられた所謂京都の伝統的な町家なんですね。この建物と京都駅から近いという立地を生かして、現在のようにコロナ禍になる前までは、海外旅行者の皆様を中心に「お寿司の体験教室」をやっていたんですよ。

―お寿司の体験教室ですか。海外からの旅行者さんに喜ばれそうですね。ここで代表をされる前は、お寿司関係の事をされていたんですか?
お寿司だけってことではなかったのですが、飲食に携わる仕事をしていました。飲食業のコンサルタントをしていたんですよ。そんな仕事をしていた時に、この建物の存在を先に知ったんですね。それで、一度この目で見てみたいと思ってここを訪れたときにこの建物のオーナーと出会ったんですね。当時の仕事柄、「何かお手伝いできそうなことありませんか?」って聞いたんですが、そしたらここの「女将」になってくれて運営を任せることが出来る人を探していると言われたんです。飲食業のコンサルタントになる前は、20年程料理教室をやっていたので、その当時の経験も生かせると思ったので、「お手伝いしましょうか?」って言ったんです。それから話がとんとん拍子に進んで今があります。

―この建物が引き合わせてくれた素敵なご縁ですね。名刺に「精進料理」と書かれていますが、こちらはどういうことでしょうか?
昨年から続くコロナ禍の影響で海外旅行が難しくなりましたよね。弊社も、その影響をまともに受けていてお客様の大多数を占めていた海外旅行者の皆様が日本にこれなくなったので方針の変更をせざるを得なかったんです。それで、私のルーツでもある精進料理にシフトチェンジしたんです。

―ご自身のリソースにフォーカスされたシフトチェンジ。お寿司の体験教室からシフトチェンジされてから現在はどのようなことをされているのでしょうか?
一つ目が、精進料理の考え方をベースにした料理教室です。二つ目が、各種パーティーやイベントの開催とそれに伴うお料理の提供です。そして、三つ目がこの建物や空間そのものをレンタルスペースとして貸し出しています。

―レンタルスペースはこの雰囲気を利用したい方々が借りられるのだろうとは思うのですが、精進料理の料理教室やパーティーはどのような方が利用されるのでしょう?
料理教室の場合は、やはり健康志向の高い方々ですね。他にも、お寺主催の精進料理体験イベントとかになるとどうしても、座禅や説法を含めての精進料理体験イベントなので、お目当ての精進料理に行きつくまでに相当の時間が掛かるんです。それと比べてうちの場合だと、気軽に精進料理を召し上げって頂けるかもしれません。また、ただ召し上げって頂くだけではなく、精進料理との向き合い方やその歴史などもお話していますので、経験としても精進料理を楽しんで頂けますよ。パーティーやイベントについては、傾向として、年配の方をおもてなしすることが目的のパーティーやイベントに使って頂くことが多いように感じています。「60~80代の年齢層の方々に召し上がって頂けそうな料理はお願いできますか?」と、いうような問い合わせを多く頂くんです。

―年配の方は喜ばれるでしょうね。パーティーとかで全然食事に手を付けていらっしゃらないのをよく見ますので。精進料理って、あっさりしてるというかパンチが無いというか何となくそんなイメージがあるだけで詳しくしらないのですが、そもそもどういうお料理なんですか?
色々な宗派によって、その考え方には違いがりますので、一概には言えないのですが、私は、「感情の起伏が起きることなく、心が荒ぶらず、淡々と食べることが出来る料理」。それこそが精進料理だと考えています。ですから、お料理を一口食べて目を見開くようなサプライズはありません。体にも心にも優しく、ただただいいものを何の罪悪感も無く召し上がって頂けるように調理と向き合い、お客様からは見えないところにもこだわりを持っています。

―「感情の起伏が起きることなく、心が荒ぶらず、淡々と食べることが出来る料理」というのは初めて聞きました。ただあっさりしているお料理ではないんですね。失礼しました。こんな素敵な空間で、そんなお料理を食べるという経験が出来るのは素敵だと思います。今後はどのようなことをお考えでいらっしゃいますか?
この建物は、ちょうどいい広さの個室で区切られていますから、数人のお友達やお仲間との集まりのような小さい会を開く皆様にとっての特別な空間として使って頂けると嬉しいですね。以前は、国内の皆様よりも海外旅行者の皆様にお越しいただいていましたが、これからは、国内の皆様の出会いの場や色々な縁がつながるような場になればいいなと思っています。