株式会社 湯葉弥 取締役社長 中村 拓平



―創業天保元年!ということは、今年で191年!とんでもない歴史ですね!それも湯葉一筋で!これほどの歴史がある家業の家柄に生まれると、家業は継いで当然という風潮ですよね?他の道に進みたいとか他で修業されたようなことはありましたか?
長男に生まれましたから、気付いたころにはもうそういう空気というか何と言うか。私自身も、家業を継ぐことに抵抗はありませんでしたし、とても自然に家業に入りましたよ。学校を卒業してから、そのまま入社したので外で修業はしていませんよ。

―ありがとうございます。僕の興味のあることを伺うのですが、ホームページを拝見すると全国各地の百貨店で催事に出店されていますね。催事というのは、百貨店から声が掛かるんですか?それとも、中村社長からアプローチされるんですか?
先代の父の代から各百貨店さんとお付き合いが始まって、各百貨店さんが開催される催事に呼んで頂くようになったんです。私どもは、京都の老舗だからと言って、「ここにしか卸さない。ここにしか出店しない。」ということはしたくなかったので、弊社の方から百貨店さんの方へ様々な提案をさせて頂いたりもしてきました。そしたら、どんどん広がっていって全国各地色々な百貨店さんの方からお声掛け頂くようになりました。

―昔からのお付き合いの賜物ですね!現在、御社の販売チャネルは、「店舗」、「催事」、「ネット販売」の3つのチャネルで良かったですか?現在のコロナ禍において、この3つのチャネルのバランスはどのようになっていますか?
コロナ禍での影響というと、やはり百貨店の催事ですね。百貨店自体、営業を見合わせたり、催事を中止したりしましたので百貨店ラインは完全に止まりました。最近では、感染対策等を行いながら百貨店も催事を再開しているので、百貨店ラインの売上も戻っています。売り上げのバランスとしては、「催事>店>ネット販売」。現在は、おおよそこんなイメージではないでしょうか。

―ありがとうございます。中村社長は、催事等の現場にも積極的に出られているとのことですが、何か理由があるのですか?
家業に入って最初の1.2年は来る日も来る日も湯葉づくりの修行に明け暮れていました。でも、3年目以降は、催事のような対外的な活動も増えてきたんですよ。私は、どちらかというとインドア派というか内向的なタイプなんですが、いざ現場にでてお客様と接するとめちゃくちゃ楽しかったんですね。それに、現場に出て直接お客様の声を聞いて、それを商品開発にフィードバックするんですよ。そして、出来上がった新商品や、改良された商品を再度現場に持ち込んでお客様の反応を見るんです。こんな循環の中心に自分がいると言うのは、とてもやりがいを感じますし楽しいですね。

―好循環ですね!それに楽しいっていうのが何よりだと思います。中村社長はお客様への貢献ということについてはどのようなことをお考えですか?
絶対品質を裏切らないということですね。また、私は「心遣い」を大切にしています。例えば、催事に出ていると2度3度と通ってくださるお客様がいらっしゃるんですね。そういう方には、心ばかりの粗品をつけたりします。そうすると、こちらが思う以上に喜んでくださいますし、またお越しいただけます。こういうことを私なりの貢献と言いますか大事にしています。

―190年以上も続く老舗となると、どこかかたいイメージがありましたが中村社長からはそんな印象を受けません。老舗が老舗である所以と言いますか老舗をを守り抜く秘訣って何でしょうか?
私が思うに老舗って意外と新しい物好きだったりすると思うんですよ。老舗は、頑固で堅物なイメージを持たれることが多いように思いますが、実際は全然そんなことないように思います。勿論、老舗の全てが新しいもの好きかは分かりませんよ。私は、その時代その時代の後継者が、それぞれの時代に合わせ、自分の代で出来る限りのことをやってきた結果、老舗と言われるくらい長く続いてきたんだと思っています。実際、私も弊社のホームページを新しくしてホームページ上から湯葉を買って頂けるような仕組みを新しく作ったりして時代にフィットするようにしています。

―先日伺った100年続く竹屋さんもネットを駆使されていたので、同じようなお考えをお持ちなんだろうと思います。従業員の皆様への思いや、常日頃お話されていることをお聞かせください。
190年以上続く老舗で働く者として、社員の皆さんもアルバイトの皆さんも関係なく商品に対する価値観は統一していきたいと考えています。また、お客様に対して、万が一失礼なことがあった場合は、とにかくすぐに対応しないといけないのですぐに連絡が欲しいと言っています。お客様を裏切ることは絶対に許されませんから。誠実に対応すること。この重要性を常日頃から伝えるようにしています。

―ありがとうございます。今後についてはどのようなことをお考えですか?
実店舗を何店舗出したとか、どの百貨店へどれだけ出店したとかと言うような拡大戦略は終わりを迎えると思います。一昔前は、百貨店へ出店させて頂くと言うイメージが強かったように思いますが、これからは、お互いwin winになるような考えでないといけないと思います。そして何より現在のような状況下では、外に目を向けるのではなく元々自分たちが持っている力を強力に確固たるものにすべく内に目を向けないといけないと考えています。