日本料理 研野 料理人・オーナー 酒井 研野



―菊乃井で10年間修業されたんですね。すごいですね…。そもそも、日本料理を志されたキッカケは何かあったんですか?
調理の専門学校では、イタリアンもフレンチも日本料理も一通り勉強するんですね。その中でも、イタリアンやフレンチってやっぱり華やかなんですよね。それと比べて、日本料理って何となく控えめなイメージだったんですよ。でも、丁寧にお出汁をとったお味噌汁ってやっぱりおいしいと感じますし、そう感じれる日本料理ってやっぱりいいなと思うんですよ。言うなれば、恋人にするならイタリアンやフレンチで、結婚するなら日本料理。当時、僕はそんなことを感じていました。そして、本格的に日本料理を学びたいと思い専門学校に通いながら週末だけ菊乃井で研修を受けさせてもらうようになったんです。

―専門学校の時から菊乃井での修業は始まってたんですね!今でこそ、立派にオーナーシェフとして独立されていますが、当時から将来は独立しようと考えていたんですか?
菊乃井で修業して、40歳までに独立出来たらいいな…なんて漠然と思っていましたよ。

―40歳までにっていうのがすごくリアルですね。でも、実際は31歳で独立された訳ですが独立心が加速するキッカケがあったんですか?
菊乃井に勤めていた時に、「RED U-35」という35歳以下の料理人を対象としたコンテストに出たんですね。このコンテストに出たのが、キッカケの一つになったように思います。コンテストに出ているのは、日本全国から集まった同じくらいの年代の料理人なんですが、雇われのシェフもいれば、もうすでに自分の店を持っているオーナーシェフもいたんです。そんな参加メンバーを見ると、より一層独立したいと思うようになりました。そして、「40歳までに…。」なんて漠然としていた思いが、「35歳までに京都で独立する!」と明確になりました。

―そんなコンテストがあるんですね。この記事を読んでいる皆様は一度ネットで「RED U-35」と調べることをお勧めします。それからの独立までのストーリーをお聞かせください。
菊乃井での修業は10年という節目を迎えたタイミングで一区切りをつけました。それから、ニューヨークに渡り3か月ほど現地の日本食レストラン、それから帰国して「LURRA°」。そして、「京、静華」とキャリアを積んでいきました。

―最後の「京、静華」って中国料理ですよね?どうして、ここを修行先として選ばれたんですか?路線が違うイメージですが。
ご存知の通り、京都って日本料理のお店が多いですよね。ですから、日本料理の直球勝負では生き残るのが難しいと考えたんですね。この頃、日本料理の歴史の勉強も積極的にしていたのですが、その中で日本料理のルーツが中国料理にあるなんてことも珍しくないなんて言うことがわかったんです。これをヒントに、日本料理に中国料理のエッセンスを加えようと考えて「京、静華」で修業させてもらいました。

―なるほど。歴史を学ぶことで、現代の料理のヒントを見出すなんてすごいと思います。それで、お店をオープンされたのが2021年3月16日ですよね?準備期間を考えると、コロナ禍真っ只中のタイミングで独立に向けて動き出されたんですか?
そうです。「京、静華」での修業中にコロナ禍の影響で、お店の営業もテイクアウトが中心になったんですね。それに伴って、仕事の時間も短くなって、時間的な余裕が出来たので、その時間を使って物件を色々探し出したんですよ。そんな風に独立に向けて具体的に行動しだすと、「このタイミングで独立っていうのもアリかも!?」なんて思うようになったんです。それが、昨年の5月6月辺りで、家内の強力なバックアップもあってそのまま独立しました。

―なるほど。奥様と二人三脚ですね。素敵ですね。しかし、このコロナ禍で様々な業種業界が上向きになれない中、酒井さんのお店は予約困難店ですよね?どんな秘訣があるのでしょうか?
今までお世話になったお店や今まで関わらせて頂いた皆様に助けて頂いているように思います。皆様が色々な方をご紹介くださるので、とても多くの取材のご依頼を頂きますし、積極的にSNSも活用してるのでメディアへの露出が多く、皆様に知って頂ける機会が多いように思います。また、日本料理屋の多い京都と言えど31歳の料理店主は少ないと思います。そんな若手の自分の感性と、現在の日本の食文化の多様性を料理に反映させ、美味しい料理を美しい器に盛りつけ、きれいな音楽の流れる素敵な空間で召し上がって頂きたいと考えています。そういう料理や空間、時間を提案することでお客様の人生に少しでも潤いを提供したいと思って日々妥協せず取り組んでいます。ひょっとしたら、こういうところを評価して頂いているのかもしれません。

―ありがとうございます。最後に、皆様へ何かメッセージをお願いします。
カウンター7席のお店です。ですから、お一人お一人丁寧に、お一人お一人のオートクチュールでありたい。僕は、そう考えています。皆様のお目にかかれる日を心よりお待ち申し上げております。