株式会社 野村龍酒店 代表取締役 野村 和久



―1917年にご祖父様が開業されたとのことですが、今年で104年というとんでもない歴史ですね!そんな歴史のある家業へはどのような経緯で入られたのですか?全く違う業界や同業他社を経験されたというようなことは無かったのでしょうか?
違う業界や同業他社の経験は全くないんですよ。小学校の頃に書いた文集にも、「将来は酒屋をやる!」なんて書いていましたから、それくらい小さい頃からの流れをそのままに、学校を卒業するのと同時にごく自然な流れで家業に入りました。家業を継ぐことに何の抵抗も感じていませんでした。

―それから、会社を継がれたのにはどんな経緯があったのですか?
私と同じような立場の友人が、事業を継承したんですね。でも、先代の急逝による継承だったので随分大変だったようなんです。遺産の「相続」と会社の「継承」が同時にやってきた挙句、会社の実務においても十分な引継が無かったから何もかもバタバタだったようなんです。身近な友達のそんな話を聞いたので、私は、先に継承しようと商工会議所で勉強したり継承に向けて動き始めました。それから、会社の将来の事や私がやりたいことを先代の父に伝えて2012年に事業を継承し代表取締役に就任しました。

―ありがとうございます。代表に就任されてから9年程経つかと思いますが、社長というのはどういう立場だとお考えですか?
弊社で働いてくれているスタッフや関係者の皆、そんな皆全ての家族の長だと考えています。

―最近は、ドライな考えの経営者さんが増えているように感じているので個人的に好きなお考えです。他に、経営者として大切にされている信条や考え方はどういったことでしょうか?
弊社の仕事は流通業なんですね。蔵元とお客様との間に立ち、蔵元と弊社とお客様。この皆が良好な関係を保ち続けるようにしないといけないと考えています。弊社は現在約30の蔵元と取引きさせて頂いておりますが、全ての蔵元のお酒が満遍なく売れるということは無いんですね。どうしても波がある訳ですが、売り上げが思わしくない時は何か売り上げが上がるような施策を考えてお店で実行したりしています。

―昨年からのコロナ禍からの度重なる緊急事態宣言等で蔵元さんも決して楽ではない状況が続いているのではないかと思います。現在、そんな蔵元の皆様とはどのようなコンタクトを取られていますか?
蔵元の皆様とはとにかく話すこと、コミュニケーションを取ることを心掛けています。こんなご時世ですが、悲観してばかりもいられないのは蔵元の皆様も同じなんです。こんな時期でも、蔵元の皆様も日々果敢に挑戦していらっしゃいますから、情報が常に動いているんです。蔵元の新しい情報、新しいお酒の情報を常に収集して整理して、その情報を弊社の卸先である飲食店に皆様や、お店にお越しくださる一般消費者に皆様に提供しています。現在は、こういう活動に一番時間を使っているように思います。

―この流れで伺いますが、御社にとって昨年からのコロナ禍はどんな影響がありましたか?また、対策を伺いたいのですが。
弊社のお客様で動いているのは個人の一般家庭のお客様だけになりました。卸先の飲食店は、緊急事態宣言やまん延防止で完全に止まってしまっています。ですから、昨年から弊社も楽観視出来るような状況ではありませんが、ニュースレター等を作成してお客様へ情報提供する等、こんな状況でも出来ることに取り組んでいます。本来なら、インターネットを使った販売に代表されるような、こんな状況だからこそ取り組む価値のあることがあることは分かっていますが、弊社にはそれらを実行するための十分な人員がいません。ですから、完全に守りに入ってしまうということではありませんが、耐えながらも出来ることをしっかりやる。今はそんな時期だということは間違いないと感じています。

―蔵元や飲食店、一般消費者の皆様への貢献という切り口で考えた場合、どのようなことをお考えですか?
飲食店の皆様でも、一般消費者の皆様でも関わらず、「蔵のファンづくり」を目標にしているんです。飲食店の皆様においては、私がおススメしたお酒を置いて頂いて、そのお店を訪れるお客様がそのお酒を注文され、美味しかったとおかわりをされたら飲食店の売り上げは上がりますし、何よりそのお酒を飲まれたお客様に喜んで頂くことが出来ます。弊社のお店での販売についても同じようなことが言えます。おススメしたお酒がおいしければ、またお越し頂けますし、その特に他のお酒もすすめて欲しいなんてことも言われることがあります。このような美味しいと感じて頂いたことをキッカケにお酒は勿論ですが、そのお酒を造る酒蔵に関心を持っていただけたらなんて考えています。その一環で、飲食店の皆様を蔵元にお連れして、日本酒やワインの酒の会というようなイベントを企画したりしています。

―ありがとうございます。蔵元ともお客様ともとても深く関わられているんですね。今後についてはどのようなことをお考えですか?
昨今のコロナ禍からの緊急事態宣言等で飲食店の皆様はつらい状況におかれていらっしゃいます。飲食店の皆様がつらいということは私たちも決して他人事ではありません。これからは、飲食店の皆様に対してのサポートや情報提供を継続すると同時に、一般のお客様にお店にお越し頂けるような施策も考えていかないといけないと考えています。また、弊社は酒店ではありますが、お酒という枠にとらわれずそれ以外の飲み物や食べ物も何か始めようかと検討しています。そういうことを通して、お客様にもっと喜んで頂けるような酒店になっていきたいですね。