株式会社 絆 代表取締役 丁 邦治



―丁社長はこちらのA型作業所を始められる以前から、焼肉屋さんをされていますよね?飲食と福祉事業というのが繋がらないのですが、独立された辺りのことから順番に教えて頂けないでしょうか?
独立する前は、チェーン店の焼肉屋さんで働いていたんですね。そこで働いていた当時は、ずっと30歳を過ぎたら独立しようと考えていたので2010年に独立して、「焼肉酒家 絆」を始めました。焼肉屋というと、夕方から夜の営業が主なので、昼間は割と時間があるんですね。その昼間の時間で何か出来ないかなと2013年に始めたのが、お弁当のデリバリーなんです。これが、大当たりしたんです。昼間の空き時間に・・・なんて優しいものではなく、23時頃まで焼肉屋をやって、帰って少し仮眠をとって深夜3時に起きてお弁当の仕込みをはじめて昼間はお弁当の配達に回って、戻って来てお店の仕込みと営業を23時まで続けて、深夜3時まで仮眠をとって・・・。と、いう毎日になりました。さすがに、「働き方を変えないと・・・。」そんなことを真剣に考えだしたときに、お弁当のデリバリーと福祉が繋がったんです。

―お弁当のデリバリーと福祉?まだ僕はピンと来ないのですが、どう繋がったのでしょうか?そして、それからどのように現在に至るのですか?
障がいを持たれた皆様にお弁当の製造を手伝って頂くようになったんです。決められた場所に決められたものを盛り付ける。そんなことをやってもらっていたんです。そして、2018年お弁当の製造を事業化して株式会社絆を設立しました。今となっては、設立当時のお弁当の製造からは撤退しているのですが、現在、名刺やチラシのデザイン事業、レジンアクセサリー事業、リフォーム事業等、合計10種類程度の事業に利用者の皆様と一緒に取り組んでいます。

―スゴイ!でも、お弁当事業とは全然違う事業だと思うのですが、どのようなきっかけでそれだけの数の事業を展開されるようになたのですか?
2018年の法人設立以来、ジワジワと多角化して・・・なんて感じじゃないんです。今年の2月からの半年で一気に増えました。というのも、先程は、現在はお弁当の製造から撤退なんて言い方をしましたが、フランチャイズだったお弁当の製造事業が、ある出来事をきかっけに突如として契約が解除されたんです。それが今年の2月の事でした。これによって、多くの弊社スタッフや利用者の皆様を抱えながら、売り上げが一瞬でゼロになりました。

―えぇー!でも、そこからどうやって持ち直したというか、ひょっとしたら前以上の規模になってないですか?その要因というか方法というのか、どういったことをされたんですか?
その最大の要因は昨年の2020年に遡ります。私のその年の目標でありテーマが、「経営者である私の思いを社員全員に伝え、その思いを浸透させる。売上げではなくまず先に人を育てる。」というものだったんです。これを、一年を通して徹底したんです。これが良かったんです。そして、迎えた今年の2月、売り上げが落ち込むも何も、事業そのものが無くなってしまった場面で、社員全員がそれぞれ一気に動いて様々な事業を立ち上げてくれたんです。こんなスタッフの頑張りによって、3月以降怒涛のV字回復に転じました。人が育てば売り上げは後から付いて来る。2020年、そう信じて活動して本当に良かったと思いますし、社員の皆が本当によくやってくれたと思います。

―スタッフの皆様の視点が高いといいますか、経営者感覚といいますか、それは本当にすごいことです。現在、そんなスタッフの皆様とはどのような思いを共有されていますか?2020年のように何かテーマのようなものがあればお聞かせください。
「今の社員の皆が、新しく入って来た社員を育てることが出来るのか?」ということをテーマにしています。今は、社員の皆が本当によくやってくれています。その為、私自身以前と比べると随分心に余裕が出来たように思います。ですから今は、社員のために自分に何が出来るのかということを考えるようにしています。そして、これからも社員の皆と一緒に育っていきたいと思いますし、経営者として皆の少し先を歩むことで、新しいビジネスを皆に提案していきたいと考えています。その時に、今の社員の皆が新しく加わる社員の指導や育成で悩まないように、今の内から新しく入って来た社員を今の社員が育てることが出来るようになることを直近のテーマとしています。

―ありがとうございます。では、現在丁社長ご自身が一番時間を使われていることはどういったことでしょうか?
社員の皆の心のケアやコントロールです。これは、社員を操るという意味ではありませんよ。私は、現在社長として私がやらないといけない仕事以外は全て社員の皆に振っています。そうすることで、任されているという責任感を感じながら仕事に取り組むことでやりがいを感じてくれているようです。そんな社員の皆にもっとやりがいを感じてワクワクさせてやろうと考えています。その為には、まず私自身がワクワクしていないといけないと思うので、社員の皆には、私がワクワクするような提案をどんどんして欲しいと話しています。

―やりがいを感じてワクワク出来るなんて本当にステキな職場ですね!これからの事は、どのようにお考えですか?
現在、ここではA型作業所として40名の利用者様を受け入れています。そして、この40名というのが、限界だという風にも感じています。今後については、現在の作業所の人数を増やすのではなく、現在をワンパッケージとして、色々な場所に様々なお仕事を提案できるA型作業所を広げられたらと考えています。その為に2023年は新卒採用を開始しようと計画していて、まずは、そのために先程申し上げた社員が社員を教育できるような体制を作り上げることを直近の課題として取り組んでいます。