アラネット 株式会社 代表取締役社長 荒川 皓太



―荒川社長は、物心ついたときから将来は家業を継ぐのが既定路線的な感じで家業に入られたんですか?それとも違う道に進まれてから家業に入られたんですか?
小学校2年の時にバス釣りと出会ってから、今でもバス釣りにはハマりっぱなしなんです。高校の時からボートは持っていましたし、いろんなトーナメントにも出場したりしていました。大学生の頃は釣り具メーカーでルアーを作るバイトもやっていましたから、家業は兄に任せて将来は釣り業界に進もうと考えていました。しかし、卒業を前にし就活を意識しだしたころ兄がまさかの家業を完全に継がない宣言をしたんです。兄のそんな宣言を受け、どうしようかと親に相談したところ、外で修業をして来いという話になり、百貨店でスーツの販売をすることになりました。この当時は、まだ、家業に入った訳じゃないからまだ、釣り業界にも行ける可能性はあるなんて思っていました。結局その百貨店には2年程度お世話になり、それから大手セレクトショップに移りました。そこには1年半ほどお世話になったんですが、もうこの頃には洋服がどっぷり好きになっていて、この辺りで家業の服屋を継ごうと腹をくくって家業に戻って来ました。そして、2017年に代表を引き継ぎました。

―高校時代からボート持っててトーナメントに出るって、もう本気じゃないですか!ご紹介頂いた平岡様からオーダーのレインウェアを作っていらっしゃると聞きましたが、バス釣りの流れを汲んでの事業なんですか?
オーダーのレインウェアの構想自体はずっとあったんですよ。単純に体に合うレインウェアって中々ありませんから。ズボンの裾が長くて引きずったりダボついたりとか、たるんで出来たシワに雨が溜まるだとか。そういう悩みや不満みたいなものがあることは分かっていたので。そして、この構想を実行するキッカケになったのは昨年からの新型コロナウイルスの影響です。昨年までは、全国各地の得意先やオーダー会を出張して回っていくということが出来ていたんですが、コロナ禍で移動の自粛をせざるを得なくなり、どこに行くことも出来なくなったんです。ですから、出張に充てていた時間を埋めるようにレインウェア事業を実行して、着手から2ヶ月で開業させました。小さい頃からバス釣りをやり込んできたので、その中で出来たネットワークをフル活用してオープンからまだ半年程度ですが、雑誌に取り上げられたり、釣具屋とタイアップが決まったりと、順調に伸びてきています。

―すごいですね!確かにバス釣りをやってこられたからこそのネットワークがあったというのも順調な要因かと思うのですが、そもそものモチベーションというか、その辺りの源みたいなものはどうなってるんですか?着手から2ヶ月でオープンってすごいエネルギーですよ!
確かに、すごいエネルギーという見方をされるかもしれません。でも、楽しいんですよ。単純に。それに正直、モチベーションがどうこうとあまり考えたことが無くて、「見ない技術」とでも言うんですかね。しんどいことよりも、世の中に沢山ある楽しいことと自分のやっている事や出来る事とをリンクさせることを考えている方が楽しいのでそこにフォーカスするようにしています。

―なるほど。そうは言っても、今まで明らかにしんどいということもあったとは思いますが、それはどんなときでしたか?
クールビズが始まったときです。あれって、「ネクタイを外しましょう!上着を脱ぎましょう!」というような推奨じゃありませんからね。「ネクタイを付けるな!上着を着るな!」ですから。半強制な訳です。そうなると、単純にスーツを着なくなる訳ですよね。それも、今ではクールビズの期間も伸びて一年の約半分はクールビズです。ということは、年の半分しかスーツを着なくなるわけで、単純計算で売り上げは半分になる訳ですよ。たまりませんよね。クールビズと言っても、スラックスは履く訳ですから、スラックスのオーダーというのも無いことはないんです。でも、その売上って、スラックス5本=スーツ1本なんです。というかそもそも、一気にスラックスだけ5本作る方もいらっしゃらないので、どうやってもクールビズという新しい文化のお陰で落ちた売上のリカバリーが難しいのがこのスーツの業界の現状です。ひょっとしたら、しんどいと言われている着物の業界よりもしんどいかもしれません。

―確かに。飲みに行く以外スーツを着ない僕が言うのもなんですが、新しい文化が出来たことで売り上げが半分になるっていうのはつらいですね。しかし、そうは言ってもオーダースーツという特別な服は無くなることはないと思いますが、それを買われるお客様にはどんな思いをお持ちですか?
私のスーツを着られた方が、その周りの方々から、「ええの着とるな・・・。」とか、「かっこええな・・・。」とか、そんな風に言われたり見られたりするようなスーツを作ることを何より心掛けています。ですから、場合によっては、「立ち姿が圧倒的にキレイに見えますから、少し高いですけど買ってください!」なんて言ったりします。その時は、少し売りつけられたような感じでお帰りになられますが、1.2か月すると、「周りの評判が無茶苦茶ええわ!」と言って喜んでお越し頂けるなんてこともあります。

―うわー、何かいいですね。そういうの。難しいうんちくじゃなくて、単純にそういう所を分かってくれている方と「オーダー」については話したいですね。これからについては、どのようなことをお考えですか?
スーツを買いに来られているお客様は、「仕事の脳」でお越し頂いているので、レインウェアという遊びの提案をすることが難しいですが、レインウェアを買い来られているお客様は「遊びの脳」でお越し頂いているので、オーダースーツという仕事の提案も聞き入れてもらいやすいんです。このように、これからはレインウェアを購入頂いたお客様に無理のない範囲でオーダースーツも提案できればと考えています。そして、「うわっ!おもろいこと考えるな!」と言われるようなイベントをやっていきたいと考えています。例えば、琵琶湖の湖上でのスーツのオーダー会です。来たければボートで来てください的なイベントです。こんなイベントでもバズれば、今の時代色々な面で会社にとってプラスですから。それに何より私が楽しいんですよね。私たちは、少数精鋭ですから思ったらすぐに動けます。何でもやってみよう精神をもってこれからも楽しいことを面白いことをやっていこうと思っています。