株式会社 石田工務店 代表取締役 石田 泰久



―石田社長は、どのような経緯で家業に入られたのでしょうか?
私のお祖父さんが、左官業をやっていたんです。その後、私の父の代では、左官業が工務店になり、それと併せて不動産業もやるようになりました。その頃は、戦後で建売住宅がメチャクチャ売れた時代だったそうです。そんな父の元に私が産まれた訳ですが、幼い頃からずっと「仕事は継がなくていい。」と言われていたんですよ。しかしながら、父も口ではそう言うものの家の中には継がないといけないような空気はずっと漂っていました。そんな中で育った私は、建築系の大学に進んだんです。卒業後は、設計事務所に就職して設計士としての修業をはじめました。そして、その設計事務所で3年程経った頃、父から「そろそろ帰ってこないか?」と連絡があったんです。その連絡をキッカケに家業に入りました。

―ありがとうございます。お父様の代での、工務店+不動産業とはまた現在では色が違うように思いますが、家業に戻られてからどのように現在のスタイルになったのですか?
戻って来た当時は、分譲地の建売りがメインでした。他にも、木造や鉄骨、店舗付き住宅の設計施工もやっていました。しかし、時代の流れの中で鉄骨や分譲地を縮小していったんです。というのも、私がお客様の顔を見ながら話をして、お客様と一緒になって家を作り上げたかったからなんです。そして、そう思いだした30年程前に、当時では画期的だった「高断熱高気密」の家と出会ったんです。かねてからの私の思いにこんな出会いが重なったので注文住宅に力を入れるようになっていきました。そして、更に10年程前からは、注文住宅だけでなく、リノベーションもスタートさせました。それから、高断熱高気密の家というものが知れ渡ってきたタイミングで、さらに特徴を打ち出そうと無垢材を使うようになりました。こんな取り組みを続けている中で、父から少しづつ事業や会社の事を任せられるようになり、ごく自然な流れの中で代表を継ぎました。

―特徴や他との差別化というものはとても難しいと思うのですが、とてもうまく実行されたんですね。すごいと思います。現在、石田社長が経営者として大切にされている思いとはどのような思いでしょうか?
住まいは新築にしてもリノベーションにしても、とても大きな金額をお預かりすることになります。ですから、お客様からは信用と信頼をして頂かなければなりません。その為には、徹底的にお客様の思いや願いをくみ取り、それを私が消化して目で見えるカタチで表現して提案する。そして、それを元に打ち合わせをしてさらにお客様の思いや願いをくみ取り、消化して表現して提案する。こうする過程で徐々に信用と信頼をして頂けるようになると感じています。また、これを繰り返すことで120%満足して頂ける家が完成すると信じています。

―ありがとうございます。お客様の望む120%の家を完成させるということだけでも十分貢献だと思うのですが、その他に石田社長が考えられているお客様への貢献とはどういう事がありますか?
約30年前から弊社が建てた家については現在でも無償で定期点検を実施させて頂いています。この取り組みを始めてもう30年位になりますね。この取り組みの事を私は「家守り」なんて言っています。点検に伺って、メンテナンスの必要があるところについてお伝えしています。こういう活動を通じ、家のメンテナンスをすることで末永く快適に住み続けてもらいたいと考えています。これが、私のお客様への貢献だと考えています。

―30年も前から定期点検ですか!今でこそ定期点検というのはよく聞きますが、そんなに昔からされていたんですね。石田社長が家業に戻ってこられて一番つらかった時期はどんなときでしたか?
家業に戻ってしばらくした頃の事です。当時私は、専務という役職で、父からもある程度仕事を任されていました。それ故、業績を上げることで頭がいっぱいでした。当時は、建売りがメイン事業でしたので、土地を買って家を建てても土地の相場が下がって行くので、売れなければドンドン値段を下げていかなければいけないわけです。そうなると、売れても利益はマイナスなんてことが往々にしてあるんです。このままではいけないということで、注文住宅へシフトしてく訳ですが、当時始めた高断熱高気密の注文住宅と言っても世間の認知度がありませんから、すぐに売れることなんてありませんでした。だからと言って私からアクションを起こさないと認知度なんて上がりませんから、実際にモデルハウスを建てたりしました。このように建売りの販売から注文住宅へシフトするこの過渡期が一番つらかったです。

―ありがとうございます。しかし、そんな困難もクリアされたのはすごいモチベーションですね。その源って何なんですか?それと、最後に今後の事についてもお聞かせください。
会社だけの世界で生きているとどうしても視野が狭くなってしまいます。ですから私は、可能な限り様々な会や勉強会に参加して、様々な業界の方々と関わるようにしています。そうすることで、様々な刺激を受けて、今よりもより良い提案をお客様にさせて頂け様に、日々勉強して行動して検証する。これを繰り返しています。今後についてですが、「キッチン・ダイニングの設計では京都で一番」。皆様にそう言って頂けるようになりたいですね。自然素材を使って、お客様の笑顔あふれるダイニングキッチンやリビングづくりを突き詰めていきたいと考えています。また、私は「家庭調理研究家」なんていう肩書も持っていますので、「料理×建築設計」。こんな視点でも活動をしていこうと考えています。