株式会社 シナノトレーディング 代表取締役社長 仕名野 秀治



―ホームページに「自宅寝室からスタート」と、そんなことが書かれていましたが、一体どんな経緯で起業されたのですか?
昔私は、プロのバイクレーサーを目指していたんです。結局プロになれなかったのですが、YAMAHAからマシンを貸与してもらえるくらいのところまでは行けました。そんなレーサー時代、怪我をすることが多くて何度も入院していたのですが、25歳で入院した時のことです。当時、25歳と言うとレーサーのピークを越えている年齢だったんです。それを踏まえて将来を考えたとき、国内レースでくすぶっている今の自分がこのままレーサーとしてやっていくのは厳しいと考えるようになって、モチベーションが下がって行ったんです。そしてその時、バイクレースに対するモチベーションが下がることに反比例して、「自分で商売をしたい」という気持ちが大きくなっていったんです。

―プロのバイクレーサーを目指されていた時のモチベーションが商売に向いていかれたんですね!でも、どうしてまたワンタッチテントだったんですか?バイクからは少し距離があるように感じるのですが。
引退してから色々な仕事にチャレンジしたのですが、何と言いますかしっくりこないというか、どれも長続きしなかったんです。このままではいけないと思って、自分のやりたいことを一回全部紙に書きだしたんです。そして、書き出したことを整理すると①海外と繋がりをもつ仕事がしたい。②バイクレース関係の人脈は豊富。③変わったものや世の中にまだない新しいモノを扱う。これらに当てはまるものこそが私のやりたいことなんだと分かったんです。そんな時の事でした。アメリカでモトクロスをやっていた方と出会ったんですね。それで、その方がオーストラリアからワンタッチテントの輸入販売をやっていたんです。この時にワンタッチテントと出会ったのですが、その出会いは衝撃的でした。なんせ組み立てが簡単な訳です。そして、何よりその事業が私のやりたいこと3つの要素に完璧に当てはまる訳です。

―ワンタッチテントとは、そんな出会いだったんですね!しかし、そこからどのようにワンタッチテントが仕名野社長のビジネスになったのですか?
はじめは、そのワンタッチテントの事業を手伝う所からはじまりました。しかし、しばらくした時にその方のイタリア人の奥様がイタリアに帰りたいと言われてその方も一緒にイタリアに帰られることになったんです。それで、そのときに「後やる?」なんて言われたもんですから、二つ返事で「やります!」と返事をして当時の国民金融公庫で事業資金を借り入れたり、当時勤めていたタクシー会社を辞めたりと急ピッチで開業準備をしていったんです。そんな矢先、先方の状況が変わり、そのまま事業を引き継ぐことが難しくなったんです。しかし、当時の私は、タクシー会社も辞めていましたし、国金で借り入れもしていました。ですから簡単に後に引けるはずもなく、「お客さんは自分で探すから、仕入れ先だけ使わせて欲しい。」という条件で了承をもらって、いよいよ自分の商売をスタートさせたんです。それが、平成11年1月1日の事でした。

―ありがとうございます。それから今年で22年。その中で、ピンチといいます辛かった時期はいつでしたか?
事業をスタートして半年経った時です。スタート時バイクレース関係のマーケットを対象に展開していました。そして、スタートして初月にいきなり大口の注文を頂いたんですね。そして、その後もあちこちからコンスタントに注文を頂けたんです。スタート前は当然構えていましたから、実際事業をスタートしてみると構えていた思いとは裏腹に売り上げが上がっていくんです。「あれ?余裕やん!?」そんな風に思い始めた矢先、事業をスタートしてからちょうど半年が経ったときのことです。ピタッと注文が止まったんです。「やっぱり甘くなかった!」この時にそう痛烈に感じました。それからというもの、使えるものはすべて使おう!出来ることは全てやろう!と考えて毎日がむしゃらに仕事に取り組んでいました。テントは幼稚園でも使うだろう!と考えて幼稚園の飛び込みなんかもやりましたよ。そして、そんなこんなで毎日がむしゃらにしていると、徐々にレース関係の仕事が戻って来たんです。

―飛び込みまでされたんですね。仕名野社長のお話をここにまとめるに当たって、だいぶかいつまんで書いているのでどこまで皆様に伝わるのか心配しているのですが、そのモチベーションの原点というか源とは何なのでしょうか?単純にすごいエネルギー量だなぁなんて思うのですが。
創業当時に胸に秘めていた、目新しいモノ、珍しいモノ、他が取り扱っていないモノややっていないことを私がやる。そんな思いや考えが今もそのままモチベーションの一つになっています。しかし、そうは言っても私も人間ですからモチベーションが下がる時があります。そんな時は、迷わず先輩経営者の皆さんに相談するようにしています。また、どうしようもなく落ち込んだときは靖国神社へ参拝して資料館に行くんです。そして、そこで国のために命を捧げられた方々が遺されたものに触れることで、自分の悩みの小ささに気付かされるんです。と、こんなセルフマネジメントをやっています。

―なるほど。ここに来て少し色の違う質問ですが、事業承継についてはどのようなことをお考えですか?
私が一代で築き上げた会社や事業ではありますが、何としても子供だけに継がせたいと思ったことはありません。血縁関係がどうとかそういう事ではなく、候補になる人がいれば、その人に継いでもらいたいと考えていますし、「能力」があるかどうかで判断したいと考えています。そして、私が思う「能力」というのは、「素直さ」と「人柄」です。間違ったことをしてしまったときに「素直」に謝れることや、ただ良い人なのではなくて色んな人から慕われる「人柄」を持ち合わせた方を候補にしたいですね。

―ありがとうございます。最後に、会社の今後についてお聞かせください。
創業者であれば、仕事が楽しくて仕方ない!日曜日の夜、次の日の事を考えるとワクワクして眠れない!と、そんな経験をされたことがあるんじゃないかと思います。こんな状態の時は、とにかくモチベーションが高くて、とにかく仕事が楽しくて仕方ない訳です。こんな状態を弊社のスタッフにも経験してもらいたいですし、そんなステージをスタッフに提供できる会社でありたいと思います。そうするためにスタッフ全員が自分の思いや考えを出しやすい社風を作り上げていかないといけないと考えています。そして、それらが実現できた暁には、利益体質の素晴らしい会社が出来ていると信じています。