有限会社 アドプランニング 代表取締役 川邊 裕之



―川邊社長は、1996年8月に創業されたとのことですが、どのような経緯で起業に踏み切られたのでしょうか?
私は、独立前印刷会社に勤めていたんです。その当時の印刷業界というのは、文字から作る版下というものを使って印刷をするというアナログな時代から、Macの登場によってデジタルな時代へと移行する過渡期だったんです。そんな業界の過渡期において、私の所属していた会社はと言うと、「まだまだアナログが主流の時代が続く。」という見通しの下、デジタルへの移行に踏み切りませんでした。その会社の方針にある種の危機感のようなものを感じ独立しました。

―なるほど。時代の流れを読まれてのど独立だったんですね。御社のホームページより会社概要を拝見すると、印刷事業と物流事業と記載があります。印刷事業のはじまりについてはお話頂きましたが、物流事業についてはどのようなキッカケで始められたのでしょうか?
物流事業を始めたのは創業から約11年経った2007年の事です。キッカケは、当時印刷物を作って納品する際は、外注の運送会社にお願いしていて、その外注費が毎月100万円かかっていたからです。「毎月こんなにかかるなら自分のところでやればいいんじゃないか?」ということで、はじめは自社の印刷物を運ぶ目的で自社の為だけに始めたんです。しかし、2.3か月もすると仲間から、「うちのもやってくれないか?」とお願いされるようになり、それを引き受けているうちに車の台数がどんどん増えていきました。こんな経緯で、広告等のデザインと印刷の会社だった弊社が物流事業を始めるようになったんです。

―そのような経緯で始められたにしても今となっては相当大きな事業になっていますよね。物流の仕事と言うと、相当数の競合と言いますか同業者さんがいると思いますが、その中での差別化等の戦略があれば教えてください。
まず、思いとしてあったのが、「どこの会社でもやるような運送はやりたくない。」という事でした。その為、医療関係をメインにしたんです。そして、更にはある場所からある場所へただモノを運ぶということではなく、「親切、丁寧、安全」をモットーに、その会社の一員になりきって仕事をする「企業専属便」として明確に弊社の特徴を打ち出しました。

―会社の一員になり切って仕事をする企業専属便というのは素晴らしいスタンスですね。だからこそ、医療というデリケートな業界とも関係が保たれているんだと思います。しかし、そうなると単純な運送業ではなくなると思うのですが、社員の皆様にはそのスタンスをどのように伝えていらっしゃるのですか?
弊社の社員は全員中途採用なのですが、そのほとんど全員が物流業界未経験なんです。なぜ物流業界の経験者を積極的に採らないかと言うと、弊社は単純にモノを届けるだけではないからなんです。モノを届けるということに違いはないのですが、どこまで親切にどこまでに丁寧に出来るかということが重要視しているからなんです。ですから、物流業界を経験されている方からすると、業務に違和感を感じる方が多いように感じています。そして、社員の皆には企業専属便としてお客様の会社に入っているので、その会社の業務のサポートをしているということを忘れないで欲しいと伝えています。こういったことを、在籍している40名程度の社員の皆に対して、定期的なミーティングや会議の場で常に伝えています。

―なるほど。ありがとうございます。少し質問の色を変えますが、川邊社長が現在暇さえあれば考えていらっしゃることとはどのようなことですか?
走ってくれているドライバースタッフのことをよく考えています。せっかく、私と巡り会ってくれた訳ですからこのご縁を大切にし、永く働いて欲しいと考えているんです。その為に、出来る限り皆さんに気持ちよく働いてもらうにはどうすればいいかを言うことを考えています。労働時間は当然ですが、運ぶ荷物の重量等も考慮し、個々の負担に気を配って定期的に必要であれば配置転換を行っています。社員の皆さんにはここを最後の職場にして欲しいので、暇さえあればこういうことをよく考えています。

―ありがとうございます。もう終盤に差し掛かりましたが、ここで今までで一番辛かった時期のエピソードをお聞かせください。
弊社にとっては、昨年からの新型コロナウイルスの影響よりも、リーマンショックの影響の方が強烈でした。この時期は、広告業界も印刷業界も完全に止まったんです。この時期はどうすることも出来ず唯々耐えるのみでした。そして、ただ耐えていても出ていくお金はある訳でそれをまかなうためにアルバイトもしました。そして、その時アルバイトに選んだのが物流だったんです。そこで実際に自分の目で見て経験することで、世の中が動き出してから仕掛ける構想を日比練っていました。そして、ようやくゆっくりと世の中が動き出したタイミングを見計らって構想を練っていた物流事業を一気に展開して会社を上向きにすることに成功しました。

―リーマンショックでそのような辛いご経験をされていたんですね。最後になりますが、今後の事についてお聞かせください。
他の経営者の皆様は、大きな飛躍を目指されるところが多いように思いますが、私は堅実に現在の弊社のお客様を大切に守っていくことに力を入れていきます。その為に、何かトラブルがあったとしても私がすぐに動けるような現在の体制を今後も続けていきます。先程もお話したように私は、本当に苦しい時期を経験しているので無茶はせずに堅実な経営を心掛け末永くお客様に貢献していきたいと考えています。