メガネのオノ 代表・認定眼鏡士 小野 純平



―地域に根差された創業80年の眼鏡屋さんの3代目。すごい歴史ですね。家業を継がれた方によく聞くのですが、どのような流れで家業に入られたのですか?
私自身目が悪く、小さい頃から眼鏡をかけていたので眼鏡そのものはとても身近だったのですが、家業というか仕事としての眼鏡屋には特に興味はなかったんです。しかし、そんな私も大学生になりいざ迎えた就職活動の時期。世の中でオシャレな眼鏡を取り扱うコンセプトショップが出始めたんです。この頃から仕事として眼鏡屋を意識しだし、そんな私が就職先に選んだのは大手メガネチェーンでした。そこでは、6年程お世話になったのですが、その中で私自身が「会社員気質ではない。」と言うことに気付いたんです。そんなことを自分自身で意識するようになってから、「いずれは家業に戻ろう。」という思いを日に日に強く持つようになり就職して6年が経過しようとする頃退職して家業に戻りました。

―なるほど。大手での修業期間と言いますか勉強期間のような時期があったんですね。それから、家業に戻ってこられて17.8年経つ訳ですが、その中でピンチだった時期というか辛かった時期はどんなときでしたか?
お店の経営を揺るがすようなピンチらしいピンチに陥ったことは幸運にも今まで無いんです。しかしながら、全てが順調で楽観視出来るというものでもありません。当店のお客様の多くは昔から高齢のお客様が多いんです。その為、何もしなければ売り上げの拡大は期待できません。こういった状況がずっと慢性的な課題になっています。しかし、ただの町の眼鏡屋ではなく、認定眼鏡士としてその技術の向上に取り組み続けたことで、他社との差別化に成功して、ここ最近じわじわと幅広い年齢層の新規のお客様の獲得に成功しています。

―近隣に目を向けるとシャッターの閉まっているお店が多い中、新規のお客様を獲得され業績が上がっているということはとんでもなくすごいことだと思います。他社との差別化というお話がありましたが、どのようなことなのでしょうか?
皆さん、目が見えづらくなったから眼鏡を作ろうと考えられると思いますし、そうなってから眼鏡屋に行かれると思います。これ自体は、ごく当然の事で当たり前のことだと思います。「見えにくくなったから眼鏡を使って見えやすくする。」こんな対処療法のような考え方が一般的ですが、私は、予防的な考え方で眼鏡と向き合っています。単純に見にくいものを見やすくするのではなく、「なぜ視力が低下したのか?」「その原因は何なのか?」ということに着目するようにして、お客様が少しでも快適に楽になるように、そして、肩こりや頭痛といった見えないということや見えずらいことから起こる二次的な弊害や悩みを少しでもなくすことに眼鏡を通して貢献したいと考えています。これこそが、当店の、眼鏡屋としての特徴であり他社との差別化につながると考えています。

―対処療法に対しての予防や根治。西洋医学と東洋医学のような考え方の違いですね。そう考えると眼鏡を作るという行為そのものの見方が少し変わりますね。小野さんが現在、一番時間を使われていることはどのようなことでしょうか?
眼鏡に関するあらゆる勉強や情報収集、そして眼鏡づくりについての技術の勉強に相当の時間を使っています。ここまでやればOKというゴールが無いので、これについては、この仕事を続けり以上一生悩み続け、学び続けると思っています。また、経営者としては、売り上げのことについては勿論の事、私の持っている知識や経験と言った武器をどう発信し、どのように周知し認知度の向上をしていくかということをよく考えるようにしています。

―ありがとうございます。しかし、すごい高い位置でモチベーションを維持されているように感じるのですが、その源と言いますか原動力になっているのはどういったことなのでしょうか?
私のモチベーションの根源は人との出会いや頂いたご縁です。同じ価値観を共有できる仲間がいるので、仕事に対して燃えますしやる気がでます。また、新しい方々と積極的に出会い新しい価値観に触れることも重要だと感じています。その為に、仲間からの色んなお誘いにはどんどん積極的に参加するように心掛けています。こういったことが私のモチベーションの源になっています。

―小野代表はまだ45歳でいらっしゃいますし、まだこんな質問は早いかもしれませんが事業承継についてはどのようなことをお考えですか?
私の子供もまだまだ小さいですし事業の承継について具体的にどうというのは何も考えていません。子供に継がせるかどうかという事んに関わらず、私としては何歳で引退とかを決めるのではなくやれるところまでやろうと考えています。仕事に関わらず私は本質的に、「正直に生きたい。」「嫌いなことが出来ない。」「好きこそ最強の武器。」と考えていて、これに関しては自分自身に嘘をつきたくないんです。ですから、眼鏡の仕事ではなく他にどうしてもやりたいことが出来たら眼鏡店を辞めてそっちをやると思います。また、眼鏡の専門家として目の前の人を助けることが出来なくなったり、期待に応えることが出来なくなった場合も辞めると思います。そんな私の背中を見て育った子供が継ぐのかどうするのかは子供に任せようと考えています。

―ありがとうございます。最後になりますが、今後についてはどのようなことをお考えですか?
仕事とプライベート。それぞれを充実させるために、「週5日の営業で予約制」。これをやろうと計画しています。店を大きく拡大とかそういったことは考えていません。同じ志を持った同業者で切磋琢磨して業界をいい方向へ導くよう貢献したいです。個人的に楽ではありませんが、思いや情熱を持ちそれを前面に出せるのが個人店の良さだと考えています。また、個人店はその技術力でしか大手眼鏡チェーンには勝てないと思いますので、その技術のより一層の研鑽に今以上に取り組んでいきます。