株式会社 トダコーポレーション 代表取締役 戸田 慶吾



―昭和10年に創業されて戸田社長で4代目でいらっしゃるとのことですが、どのように家業に入られたのでしょうか?自然な流れて家業に入られたのか、それとも一旦別の道に進まれたような時期はあったのでしょうか?
私は、大学を卒業してからすぐに家業には入らずに、複数店舗展開をしていた呉服屋に就職したんです。そして、配属が関東になったので卒業と同時に京都を離れました。それから、就職して2年程経ったある日、携帯に父から電話があったんです。その内容というのは、「お前の会社潰れるぞ!どうすんねん?」というものでした。当時、勤めていた本人の僕の耳にも入っていない倒産するかもしれないという知らせを京都にいる父から受けたので、寝耳に水もいいところで相当な衝撃を受けました。しかし、程なくして父の言う通り、本社から店舗に倒産の連絡というFAXが届きました。それからしばらく関東をぶらぶらしていたのですが、幼い頃に何となく「継ぐのかな・・・。」なんて思っていた記憶がふと蘇り、これもいい機会だと思い立ち父に「入らせて欲しい。」とお願いをして京都に戻り家業に入ることになりました。

―自分の勤め先の会社の倒産を会社よりも先にお父さんから知らされたんですね・・・。そりゃびっくりしますね・・・。それからどのように代表を継がれたのでしょうか?
代表を継ぐまで順番にお話ししますが、まずは衝撃の初出社からお話します。期待と不安に胸に抱き、社長としての父の元に出社していきなりこう言われたんです。「お前は何しに来たんや?」と。私としては、後を継ぐ気で来ていますから当然、「え?継ぐ気で来てるんやけど・・・。」と答えたんです。すると、「じゃぁ、その気でやれ。」と言われたんです。そして、「売り上げを上げたいと思うなら営業に行けばいい。現場を知りたかったら現場をやればいい。」と言われたんです。そして、私は気付きました。「これは、何も教えてくれないぞ・・・。」と。こんな幕開けで私のトダコーポレーションでの仕事が始まりました。それから、何をしようかということで、まずは得意先一件一件に、「社長の息子です!」と挨拶に行くことにしたんです。そして、ただ挨拶をするだけではもったいないので、「弊社に何かご意見やご要望はありませんか?」と聞いていったんです。そしたら、弊社に対しての不満が出るわ出るわ。それはもうボロクソでした。そんなお客様からの不満を言えるのは、社長である父しかいませんでしたので、毎日毎日会社に帰っては、その不満を父にぶちまけていたんです。来る日も来る日もそんなことをしていたある日、いつものように不満をぶちまけていると父が。「ほな、お前がやれ!」とキレたんです。この出来事が大きなキッカケとなって私が代表に就任しました。それが、今から約10年前。私が29歳の時でした。

―「俺は口出しをしない!お前のやりたいようにやればいい!任せる!」という器が大きく懐の深いご判断のように感じます。代表に就任されてから今年で11年ですが、現在経営者として大切にされている思いやお考えとはどのようなことでしょうか?
私たちが作り上げる貼り箱。この箱を通して、「ドキドキ」や「ワクワク」を世の中に届けたいという思いを強く持っています。一口に箱と言っても、箱というものは、人から人へ何かモノをプレゼントしたりする“その瞬間”をより一層輝かせることが出来る素晴らしいツールだと考えています。皆様の大切な“その瞬間”をより一層輝かせられるようなパッケージづくりをするという思いを大切にしています。

―具体的にどことは言いませんが、錚々たるブランドや会社の箱を作られているんですね。きっと皆様、社長のそんなマインドに惹かれて依頼されているんだろうなと感じます。従業員の皆様に対しては、どのような思いをお持ちですか?
私よりも従業員皆に輝いてもらいたいと考えていますし、そんな会社にしていきたいと考えています。私は、先代社長である父から「任せる」ということを学びました。ですから私も、従業員の皆に対して、可能な限り任せるようにして、たとえ大きな決断でもしてもらうようにしています。昔は、誰よりも早く出社することを心掛けていたのですが、私が朝からいると従業員の皆から質問ラッシュにあうんです。中には、私が判断すべき質問もあるのですが、多くの質問は私が判断しなくてもいいような内容の質問でした。ですから、少しづつ出社時間を遅くし、朝礼に参加することも辞めました。すると、自然派生的に現場で意思決定をするリーダーのような存在のスタッフが出てきたんです。こういう風に、決断するということを任せ続けてきたことで、皆が責任をもって仕事に取り組んでくれるようになりました。

―素晴らしい!まだお若い戸田社長にこんなことを伺うのは早いのかもしれませんが、事業承継については何か思いをお持ちですか?
変な言い方かもしれませんが、私は、この会社の社長に簡単になることが出来ました。しかし、次の世代には簡単に継げる会社にはしたくないと考えています。私自身が、先頭を切って事業に取り組むよりも、社長は縁の下の力持ちに徹した方が会社の業績は上がるという経験をしたので、社長一人の力や意見で成り立つ会社ではなく、色々な意見を反映させて成り立っている会社にしています。そして、このような会社の次世代の社長には、私が沢山挑戦して沢山の失敗を経験したように「新しい一歩を踏み出す決断」が出来るかということを重要視しています。そんな人物が私の子供なら子供が継げばいいですし、スタッフの中にそんな人物がいるならその人が社長を継いでくれれば良いと考えています。

―ありがとうございます。最後になりますが、今後のことについてお聞かせください。
「箱のしたて屋」そんなブランドコンセプトのもと、ECサイトを始めようと計画しています。そのサイトを通じて皆様に、「自分の思いを込めたパッケージづくりをする機会の提供」をしていきたいと考えています。また、数年以内に実現させたいのが会社の移転です。そして、移転先の新しいオフィスで絶対にやりたいことがあるんです。それは、オフィスの中心にキッチンを置くことなんです。オフィスの中心にあるキッチンの周りで皆が働いている。そんな環境を作りたいんです。これは、私が「食」というものを重要視しているということの他に、オフィスの中心にあるキッチンがスタッフ同士の新しいコミュニケーションを生み出すキッカケになったり、私がまだ想像も出来ないような“新しい何か”や“ドキドキワクワクするようなproduct”が生まれそうな空間にしたいんです。そして、こんな面白いことをしている会社があるということを世の中に発信していきたいと考えています。