一般社団法人 CHIE-NO-WA 代表理事 福田 千恵子



―京都大学在学中に法人を設立されていますが、どういったキッカケで現在の事業を起業されたのでしょうか?
2017年に京都大学に入学したのを機に京都で暮らし始めたんですね。そして、3回生の時に何となく、「京都のために何か出来ることはないかな?」と考えていた時に、新聞で「観光公害」という言葉を見つけたんです。観光地が抱えるごみ問題や落書き、そして地元の皆さんと旅行者とのトラブル等そういったことを「観光公害」と呼ぶんですが、それから観光公害について調べていくうちに、「この問題の解決の為に、私にも出来ることがある。観光地がトラブルのキッカケになるのではなくて、交流のキッカケになる場所を築く一助になりたい!」と感じて活動を始めたんです。一般社団法人を設立したのは、2019年10月のことです。

―観光地におけるトラブルの解決ですか。確かに観光地では色々な問題がありますよね。福田代表の活動というのは、前例のない活動だと思うのですが、はじめはどのような活動から始められたのですか?
まずは、観光地の地元の人たちが旅行者の皆様をどう思っているのか知りたかったので観光地の商店街とかで街頭インタビューをするところから始めたんです。すると、「外国人はマナーが悪い!」とか皆さん口々にこのようなことを仰られるんです。でも、一歩踏み込んでよくよく聞いてみると、ほとんど多くの方が旅行者の方々に何かをされたとか具体的な被害に遭ったという方はいなかったんです。皆様、誰かが言っていたことや一部メディアからの偏った影響を受けたイメージが皆さんにそう言わせていたんです。「これはマズイ!これは変えないといけない!」単純にそう思いました。「これを変えるには、地元の人も、旅行者も少しづつ寄り添い、お互いに思いやりをもって接する心構えを持つことが必要じゃないか?」と感じたので「ツーリストシップ」という言葉を使い、観光地で皆さんがお互いに寄り添いある行動をして、皆様が楽しい観光地を築くための具体的な活動を始めたんです。

―スポーツマンシップならぬ、「ツーリストシップ」ですか。いいですね。こういう言葉って出始めが肝心だと思うので、もう一回「ツーリストシップ」という言葉の持つ意味を教えてもらえますか?
住む人・訪れる人・働く人、観光地に集う全ての人が意識したい心構えのことなんです。具体的には、人・モノ・自然・文化・歴史といったその地に存在するすべてを大切にすること、そしてお互いに思いやりをもって接することを「ツーリストシップ」と言うんです。

―ますます良いですね、「ツーリストシップ」!しかしながら、ツーリストシップという言葉だけでなく、この活動自体も前例が無く初めてのことだと思います。そうなると、世間に「認知」してもらう段階だと思うので困難が多いかと思います。どんな思いで日々の活動に取り組んでいらっしゃいますか?
私は、「ツーリストシップ」という初めての言葉を使って、誰もやったことのない初めてのことをしています。ですから、思うようにいかないことが多いのも事実です。でも、私は、誰よりもこの事業の将来に夢を持っていて、そして誰よりも自分に可能性を感じているというこの思いを大切に日々活動しています。そして、私は年齢的にまだまだ若いので人生経験という点では皆様より乏しいところがあることは否めないのですが、知識量だけは誰にも負けないように日々あらゆる情報収集をすることを心掛けています。

―難しいこともたくさんあるかと思いますが、お話しているとなんだか楽しそうな印象も受けます。「ツーリストシップ」をはじめとした色々な活動の情報発信はどのようにされているのでしょうか?
各観光地の自治体等が、その地域の観光ルール等の情報発信はしているんです。ですから、旅行者が旅行先のルールを「調べる」という行動をとればいくらでも情報収集は可能なんです。問題なのは、受け入れ側がいくら情報発信をしても、旅行者が「調べる」という行動を取らないので、結局その情報が旅行者に届くことは無いということなんです。ですから、私がやらないといけないのは、旅行者の皆様に旅行をする前にはツーリストシップに則り、旅行先の地域のルールを「調べる」という行動を取ってもらえるように活動をすることなんです。

―発信をしても、それを受け取るべき人に届かないというのは問題ですよね。そう考えると、今されている活動は観光地の自治体からするとメチャクチャ意義のある活動じゃないですか!そんな福田代表が今一番時間を使われているのはどんなことですか?
「ツーリストシップ」を一人でも多くの方に知って頂くために人と会うことに時間を使っています。旅行代理店の方やツアーガイドをされている方はもちろんですが、ライターさんや一般法人の経営者の皆様とお会いして草の根的な啓蒙活動をしているんです。また、「ツーリストシップ」という言葉を一過性の流行言葉に終わらせるのではなくて、根付いた言葉にしないと意味がないと考えています。そのために今は、ネットメディア等を使った大々的なプロモーションは行わずに、来年以降、コロナ禍が落ち着いてGoToのような行政主導の旅行を活発化させる動きが落ち着いたタイミングで一気にリリースして花を咲かせようと考えているんです。その時のために、今は可能な限り「ツーリストシップ」という言葉の種まきをしています。

―確かに、ブームに便乗して下手をするとその波に埋もれてしまいますもんね。最後に、今後のことについてお聞かせください。
19世紀に「観光」というものが始まり、20世紀に「観光」がもたらす様々な問題が露呈しました。そして、21世紀である現在、「観光」は新しい段階に入っています。本来「観光」はいいものなんです。しかし、様々な問題によっていいもじゃなくなってしまっています。こんな状態を変えたいんです。その為に、私達がツーリストシップの教育を通じて、地元の皆様の「受け入れる力」と、旅行者の皆様の「受け入れてもらう力」を養って頂く機会を今以上に提供していきます。そして、観光地においては、ツーリストシップを導入したモデルケースを作り、それを国内外問わず様々な旅先や観光地に広め、それぞれの場所に「ツーリストシップ」を根付かせるような活動をしていこうと計画しています。