京都癒しの旅 代表 下戸 眞由美



―僕は、割と旅行が好きな方なので今日のインタビューを楽しみにしていたのですが、どんなキッカケでこのお仕事を始められたのですか?
学生の頃、私は祖母と二人暮らしだったのですが、そんな私達ふたりの楽しみはと言うと年一回の旅行でした。この年一回の旅行が本当に楽しくて、私達の唯一の楽しみで贅沢でした。しかし、祖母が年齢を重ねるにつれて団体旅行に参加しても皆さんのペースについて行くのが難しくなっていったんです。ですから、団体旅行ではなく個人のフリープランで旅行に行くのですが、年々食も細くなりますから、出していただく食事を食べきれず残してしまうんです。明治生まれで、始末をして生きてきた祖母は、そうすることに罪悪感を持ちだして、旅行に行くこと自体をためらうようになっていきました。そして、私が30歳の時に祖母が他界したのですが、それからも仕事の合間にちょこちょこ旅行をしていました。そうしているうちに、祖母のようにご高齢の方やゆっくりとしたペースでしか動くことが難しい方に寄り添うような旅をしてもらいたいとの思いが強くなって京都癒しの旅、実現に向けての活動を始めました。

―おっしゃる通りで、僕たち男性からしても旅行のときに出てくる食事の量の多さにはびっくりすることがあります。ご高齢の皆様からすると、食べきれないけど残すことももったいと旅行に来ているのに複雑な思いをされていたんですね。現在は、ご高齢の皆様よりも女性の旅にフォーカスされているように感じますが、そうされているのにはどのような理由があるのでしょうか?
活動を始めた頃、旅行業の資格も取ってツアコンを経験したり、京都で歩くツアーのガイドをさせてもらったりと、とにかくがむしゃらに活動していました。そして、家では家事をこなしながら家族の介護をしていました。当時の私は、内にも外にもいっぱいいっぱいでした。そして、そんな日々が続いたある日、突然心も体も動かなくなったんです。そんなとき、私を癒してくれたのは京都の街や自然、そして神社やお寺でした。私自身のそんな経験から、京都にお越しいただく皆様に素の自分に戻れる時間や空間を提供したい。そして、皆様に寄り添った旅の案内がしたいと思うようになったんです。そして、その中でも、特に女性は働く自分、母としての自分、娘としての自分、地域社会の一員である自分、シングルで生き抜く自分など一人で何役もこなしていますので、京都で共感し合い、癒されるような旅のお手伝いがしたいと強く思うようになったんです。

―そういうご経験をされたんですね。では、次にお客様に対しては、どのような思いをお持ちですか?
お客様に対して、何が出来るという訳ではありませんが、少なくとも私と一緒にいるときはその方の大切なお時間をお預かりしていると考えています。ですから、その時間はその方が心から望まれている旅をして頂くことを心掛けています。そんな時間を過ごして頂くために、お申し込みやお問い合わせの時点から、「どんなことでも、全て聞かせてください。」と言っています。それから、メールや電話等で旅のお打ち合わせをするのですが、長い方だと1年もの間やり取りをして旅のプランニングをしています。事業として考えると、とても非効率なことをしていることは重々承知の上なのですが、全てはお客様に寄り添うためなんです。そんな京都の旅を通じて、リフレッシュして、また京都に来るために明日から頑張ろう!という前向きな気持ちになってもらってお帰り頂きたいと考えています。

―素敵ですね。そういう旅もされたい方って潜在的にメチャクチャ多いように思います。しかし、未だ続くコロナ禍は旅行業界に大きな打撃があると思います。この2年ほど楽ではない状況が続いているかと思いますがいかがでしょうか?
2年前の1回目の緊急事態宣言の時、あの時は本当にもうダメかと思いました。完全に人の流れが止まってしまって、どうしようも無かったのでインターネットで「京都癒しの旅セレクトショップ」というショッピングサイトを立ち上げて、私達が現地で見て触って感じて良いと感じたものだけを仕入れて販売したんです。京都の様々な良いモノがワンストップで購入できるという良い側面がある反面、それぞれのお店から直接買うよりも「少し割高」という側面もありました。しかし、非常に多くの皆様にご購入頂いたんです。皆様、少し割高と言うことなんて百も承知で、応援という気持ちでご購入頂けたんだと思っています。そんな私達を大切に思ってくださっている皆様がいらっしゃることが本当に力になったので、なんとか踏ん張ることが出来て、その局面を乗り越えることが出来て現在に至っています。

―そういうときは、日頃のお客様との関わり方が一気に露呈すると思いますが、皆様の応援があったなんて素晴らしすぎるじゃないですか!すごく多くのファンがいらっしゃるんですね。下戸代表は、日頃どのようなお考えを大切にされているんですか?
京都に旅にお越しになられた方に、いかに幸せな時間を過ごして頂けるかという思いを大切にしています。京都を旅して、SNSで流行っているおいしいものを食べたりすることも一つですが、それ以上に、日頃気付かないような日常の中にある小さな幸せに気付いて頂けたらいいなと思っています。「梅の花がキレイ」とか「空が青い」とか。京都に来てリフレッシュして、素の自分に近づくにつれ、こんな日常の中にある小さな幸せに自然に気付いて頂けると思うので、そんなお手伝いをしていきたいと考えています。

―ありがとうございます。旅行の業界にとっては、未だ上向きの材料が少ない現状ですが、そんな今を踏まえてこれからについてはどのようなことをお考えですか?
今までのような少人数やマンツーマンの旅は、もちろん続けていきます。その他にも考えているのは、「お客様のふるさとを訪ねる旅」をしようと計画しています。ガイドブックや様々な旅行サイト。または、SNSからの情報ではなくて、そこで生まれ育った方が本当に心から良いと思っていらっしゃる場所を案内してもらうんです。このコロナ禍が今年の秋には落ち着くようなら、沖縄で開催しようと計画しているんです。また、私は、何をするにしても年齢は関係なく、諦めさえしなければ道はつながっていると考えています。実際、私自身もこの「京都癒しの旅」をある程度年齢を重ねてから始めていますので。こんなお話も、皆様とご一緒する旅の途中でお伝えしてきたいと考えています。